銀河の雫
「陽はね、秀才でね、高校も大学も首席だったの」
「優秀だったんですね」
「そう……それにイケメンでしょ」
「あぁ……はい。……とても」
「自慢の息子。それなのに、頑なに医学部に進学することを拒んだの」
「どうして……ですか」
「きっと、それが陽なりの贖罪だったのかも知れない」
「贖罪……」
「しずくさん、私ね」
「はい」
「もう……長くないのよ」
「えっ」
「若い頃、無理をしたせいね、よくこれまで肝臓が持ったものよ。これも冷泉の……主人のおかげね」
「陽さんは、息子さんはこのことを」
「知らないわ、主人以外は誰も。陽の妹や弟にもね。忙しい子達だから、迷惑をかけると思ってね、打ち明けることがどうしてもできなかったの」
「そんな……」
「けど、どうして? 今になってあなたが訪ねてきたの?」
「私、所長……ニューヨークに行かれるまで、息子さんの陽さんと……少しの間ですけど、一緒に仕事をしていました」
「まぁそうだったの……陽は仕事のときはどんな?」
「はい、とても誠実で真摯で、部下の私のことも気遣ってくださいますし、困っている多くの方々を救っている立派な方だと思います」
「まぁそう……そうなの……立派に……良かった」
「それに」
「それに?」
「とっても格好いいです」
「まぁ」
奥様はいたずらっぽく、ほほえんだ。
「ねぇ……もう、疲れたから横になるわね」
奥様はベッドに横たわった。
「……お体、お大事になさってください」
「ねぇ……しずくさん」
「はい……」
「あなたと話せて良かったわ。また、近いうちに会いに来て」
「……分かりました。また来ます」
「きっとよ」