銀河の雫
奥様は目を閉じた。
そっと、病室を後にした。
身体から生気が少しずつ流れ出していて、本当にもう長くないのだと感じた。
そのことを所長は知らない。
もし、このままお母様が亡くなってしまったら、所長は今まで以上に傷つき、一生、後悔するかも知れない。
そして、また自分を責めて、心を閉ざしてしまうのではないだろうか。
翌日も翌々日も、病室を訪れた。
体調が良さそうなときは、横に座って話をした。
幼い頃のことを聞いたり、仕事中の様子も話した。
眠っていたり体調が悪そうなときは、離れた場所から、そっと様子を見つめた。
母の死を看取った経験のある私は、奥様が死に向かっていると肌で感じた。