銀河の雫
クローゼットにしまい込んだ衣類を急いでスーツケースに戻し始めた。
母親の容態を知るために、父親に電話をした。
「陽です。ご無沙汰してます」
『おぉ、陽か、珍しいな。今、ニューヨークなんだろ?』
「はい……実は、人づてに母が持病の肝臓を悪くしていると聞きました」
『……あぁ……』
「父さん、俺らはもう子どもじゃない。はっきり教えてもらえませんか」
『……そうだったな。……分かった』
「お願いします」
『母さんの肝臓は無理が祟って、ぼろぼろだった。憂慮して来たんだが、何年か前に肝臓がんに移行してな』
「何年かって……それじゃ」
『すでに腹膜に転移している状態なんだ』
「そんな……」
『陽、聞いて欲しいことがある』
「はい」
『知っての通り、私は母さんと一緒になる前にも妻子がいた』
「はい」
『親が勝手に決めた相手で、お互いに恋愛感情なんてものはなかった』