銀河の雫
私、冷泉真一郎は、冷泉病院の長男としてこの世に生を受けた。


親の決めた許嫁と結婚し、この病院を継ぎ、繁栄させることが私に課せられた宿命だ。

相手に恋愛感情などは持ったこともなかったし、それは相手にとっても同じだ。

それでも根気強く円満な家庭を築き上げ、添い遂げようと考えていた。







……有希香に出会うまでは。






学会で東京を訪れたとき、医師仲間に連れられて行った、銀座のクラブで出会った女性だ。

身なりは大人っぽく背伸びしていたが、あどけない目をしていて、透き通るような白い肌の女性だった。

そのあまりの美しさに私は心を奪われてしまった。

彼女を好きになるのに時間はかからなかった。



けれど私は、家業を継いで病院を繁栄させる義務がある。

諦めようと何度も思ったが、どうしても、彼女のいる店に足が向く。



ある日、酔った彼女をアパートまで送ったときのことだった。

彼女はずっと好きだったと、泣きながら告白してきた。

彼女も同じ気持ちだと知った。

必死に抑えていた気持ちが、堰を切るように溢れ出した。



成り行きで一度だけ深い仲になった。


結局、妻と有希香ふたりとも裏切ることになってしまった。

贖罪の思いと自己嫌悪から、銀座通いをやめた。





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