銀河の雫


「迎えに来たよ」

「どうして……」

胸がぎゅっとなる。



「一緒に行こう」

「……でも」

戸惑っていると、手首を掴まれた。

「いいから、一緒に来て?」

半ば強引に押し切られ、一緒に歩き出す。



うちはみんな小柄。

見慣れた玄関が小さく見えた。



待たせてあったタクシーに乗るように促される。

車内に押し込まれるように、しぶしぶ乗り込んだ。


玄関先で、うちの兄に何か話していた。

ほどなくして、隣に乗り込んで来る。


「運転手さん、冷泉病院へお願いします」

「はい、かしこまりました」

タクシーが動き出す。

「あの……」

「いいから一緒に来て」

「……」

「久しぶり……だね」

「……はい」

「風邪引いたりしてない?」

「……はい」

「ちゃんとご飯食べてる?」

「……はい」

所長が私を見つめる。

私も見つめ返した。

「……ちゃんとご飯食べてますか」

「うん……でも、和食が恋しい」


膝に置いた手に温かいぬくもりを感じた。

大きくて温かい手が私の手をつつみ込んでいる。

その手に、もう片方の手をそっと乗せた。


< 155 / 163 >

この作品をシェア

pagetop