銀河の雫


「……陽さん、そんなことはもう水に流しましょう。そもそも、あなたに非はないんですから」

優真さんの言葉に、他のふたりもほほえんでうなずく。

「ですが……」

「確かに、最初は恨む気持ちもあった。子供の頃はね」

「学費だって生活費だって、不自由を感じたことはありませんでした」

「……それがどんなにありがたかったことか」

所長は首を横に振った。

「私のせいで……あなた方につらい思いを……」
「それは違う。私たちは傍に兄弟がいて、気持ちを分かち合うこともできた」

ゆっくりと優真さんが所長に歩み寄る。

「独りでつらい思いをしたのは、あなたじゃないですか」

他のふたりも所長を取り囲み、うなずく。

「そんなことは……」

「こっちに来てから昔の同級生に会いました」

「同級生に?」

「はい。クラスメイトに悪く言われ、除け者にされてたって。……それでも、なんの反論もしなかったと……」
「それは違います」

「何も違いません。だから」

「……」

優真さんは、そっと所長の肩に手を置いた。

「もう、いい加減、解放されてください」

所長の頬に涙が伝った。

「……ごめん……なさい」

肩を震わせて泣いている。

その背中にそっと手を当てた。
< 157 / 163 >

この作品をシェア

pagetop