銀河の雫

「なんて返事するべがね」

奥様も心配そうに私を見つめている。


所長と向かい合わせに立ち、まっすぐに視線を上げる。

「……謹んで……お受けしたいと伝えていただけますか?」

「んだど、聞いでだが?」

「はい」

所長は、安堵したようにほほえんだ。



病室内が一瞬、シーンと静まり返る。

「そんたなごど、こごさいんだがら、直接言えっちゃや!」

大声のノリ突っ込みに、病室内が笑いに包まれた。


そして、祝福の拍手と声が湧き上がった。


病室の入り口には、人垣ができている。


その中に、愛有沙さんの姿を見つけた。

両手で口元を抑え、肩を震わせているのが分かった。


所長は振り返ると、大也のところに歩み寄る。


「大也くん、その……」

「お父さんと思って欲しい……なんて急に言われても困ると思う」

大きく、何度もまばたきをしながら、ゆっくりとうなずく。


「けど、私はあなたにも、あなたのお母さんにも、幸せになって欲しいと思っています」

「だから……ゆっくりでいいから、君たちの家族にしてもらえませんか」


「私はあと二年、ニューヨークで仕事を頑張ります」

「その間、お母さんの傍で、今まで通りお母さんを支えていて欲しいんです」

大也は少し考え込む。



病室は再び静寂に包まれた。



「……うん。分かった。いいよ」

「ありがとう」

大也の手を握って、ふたりは握手をした。


再び歓声や拍手が沸き上がった。

傍に歩み寄ると、小声で耳打ちをして来る。

「俺、あの人……好きかも」

「大也……ありがとう」

「ってか、あんなイケメンが母さんと? ありえないだろ」

「だね」

「だな」




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