銀河の雫
「しずくさん、お昼行こうよ」
薫さんの声にくるっと椅子を回して見上げた。
「ごめん、今日は桧山課長と電話当番」
「そっか、じゃあまた後でね」
振り返って手を振り見送る。
気を取り直して、書類のチェックをしていると、電話が鳴った。
少し緊張気味に受話器を取り、会社名を伝える。
『あの……』
「はい」
『……』
「本日はどのようなご用件でしょうか」
『あの……』
女性の声だけど、なんだか様子がおかしい。
ん……?
もしかして泣いている?
「あの……どうかなさいましたか?」
『はい、実は、息子が医学部に推薦合格しまして……』
「それは、おめでとうございます」
『はい、それが……私、ひとり親なんですが、急に失業しまして……無職なんです』
私は研修中の副所長の講義を思い返した。
『……よって、無職の人の融資を通すことは難しいと、伝えて下さい……』
申し込みは出来るけど、融資を受けられる可能性は低いと答えるんだったな。
でもそんな事務的な返答で本当にいいのだろうか……
私は、課長席を見た。
どうしよう、他の電話対応をしている……
そのとき、背後から声がした。
「どうした?」
日向所長だった。