銀河の雫
軽く深呼吸する。

そのまま勢いをつけて扉をスライドして開け、部屋の中を見回す。


派遣元の営業担当さんが、笑顔で会釈する。

入社前の面接担当だった、中年女性の中村さん。

その隣には、細身の年配女性の田辺さん。


「どうぞ、中へ入って座ってください」

「……はい、失礼します」

無機質なパイプ椅子に腰を掛けた。

いつもはどちらかの営業担当さん一人なのに、今日は二人と面談なんだ……



「月浦さん、お仕事はどうですか」

中村さんが作り笑いを浮かべ、切り出す。

「あ……はい。作業内容が複雑で、覚えるのが難しいこともありますが、なんとか頑張ってます」

「そうですか。生産性はどうですか」

「はい、社員さんから平均レベルと聞いています」

「大きなミスはないんですね。社員さんとの面談では、他に何か言われたりはしましたか」

「あぁ、はい。書類作成について少し質問が多いとは言われましたけど……」



この派遣先の事務作業には、二次チェック機能がない。

ミスをすれば、確認もせず独断でやったからだと、責められるに決まってる。

そして、報告書という名目の始末書を書かされる。

挙句、朝礼で「こんなミスがありました」と、大勢の前で発表される。



だから余計、ミスには神経質になる。

私にはそれが、脅かし過ぎの逆効果に思えてならなかった。
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