銀河の雫
「もしくは青山さん、所長に振られたね」

「なんでそう思うの?」

横目で薫さんを見る。

「だってぇ、付き合ってる感じには見えなくない?」

身振り手振りをつけ、大袈裟に話す。

「そう? あんなに庇ってさ……」

『ゴホンッ』

咳払いが聞こえてふたりで振り返る。

所長が後ろの席から、ジロリとこちらを見た。

「やばっ」

「行こう」

ふたりで、そそくさと休憩室を後にした。

エレベーターホールの奥、景色が一望できるベンチに座る。

「そっかぁ、所長、副所長に頭を下げてくれたんだ」

「彼女に非があるなら、指導した私の責任ですって……」

「実のある男だね」

「うん、私、所長がね、一方的に青山さんのことを信じて、クビにされるとばかり思ってた」

「ほら」

「ほらとは?」

「……それ脈アリだよ、付き合っちゃえば?」

「はぁ? 飛躍し過ぎだから。そんなこと、ありえない」

「そうかなぁ、お似合いだと思うけど」

「どこがよ、冗談言ってないで。ほら、もう戻ろう」



不出来な上に、子持ちの派遣社員。

あんなハイスペックのイケメン、私なんかに興味持つか普通。

美人な訳でも若いとかでもない。

付き合っても、なんのメリットもない。




……どこからどう考えても、一ミリも可能性を感じない。
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