銀河の雫
あぁ、うるさい。
ミーンミンミン……
セミの音がうるさい。
開け放った窓からは、蒸し暑い風が吹き込んでいる。
白いカーテンが、まるでヨットの帆みたいに大きく膨らみ、揺れていた。
校庭からは、楽しそうにはしゃぐ声が聞こえる。
がらんとした、五年生の教室。
すれ違いざま……泣きはらした目で、睨むあの表情が目に焼き付いたまま……
全て奪ったのは俺。
生まれてなんて、こなければ良かった。
本当にごめんなさい。
「日向君、ここにいたの?」
「……はい、読書してました」
「天気のいい日は、校庭で遊ぶ決まりだよ」
「はい先生」
昇降口を通り、しぶしぶ校庭へ出る。
みんな楽しそうだな。
ふと、校庭の真ん中でグラウンドに絵を描く女の子を見つけた。
……あれ、あの子、まだ小さい。
一年生かな。
そういえば、この間も独りで遊んでたような。
「月浦しずく、また仲間外れか」
けど……こんなとこで、しゃがみ込んで危なくないか?
そのときだった。
上級生がボールを蹴りながらこちらに向かって来る。
立ち上がろうとした女の子は、上級生とぶつかり、ひっくり返りそうになった。
「あぶなっ」
差し出した両腕に、ふんわりとスローモーションに落ちてきた。
彼女が腕の中で、目を丸くして俺を見た。
その表情を今でも鮮明に覚えている。
彼女はまるで、空から降って来た星みたいだった。