銀河の雫
夜空は徐々に明るくなり、ドーム型の天井の姿を取り戻していく。

無言で立ち上がると、彼女を促し、エントランスに向かう。

外はまだ雨がしとしと降り続いていた。

「駅まで送るよ」

「でも……」

「いいから乗って?」



フロントガラスに弱い雨があたっては流れ落ちる。

「どうしていつもプラネタリウムに?」

目線を前に向けたまま、問いかける。

「幼い頃から、いつも星を見てたんです」

「岩手は星が綺麗に見えるからね」

「はい。空一面に宇宙が広がってて、それを見てると自分がとてもちっぽけに思えて」

「うん」

雨粒は次第に大きくなり、ガラスを叩いては、ワイパーにかき消されていく。

「雨、ひどくなってきたね。家の近くまで送ってくから」

「いえ、申し訳ないです。近くの駅で……」

「大丈夫、方向一緒だから……ね」

ちらっと助手席に目をやる。

「……では、お言葉に甘えて……」

「息子さん、プラネタリウム一緒に来ないの?」

「あぁ、はい。興味ないって言われちゃって」

「あはは、そうなんだね」

「今日はフリースクールのイベントで、泊りがけで出かけてるんです」

「……うん」

「あっ、うちの息子、いろいろあって不登校気味で……」

「そっか」

「お見合いのときにも言いましたよね、私、子どもの頃、ぼっちで」

彼女は不意に自分のことを話し始めた。

「……あぁ、でも、いつも助けてくれるお兄さんがいたんです」

「お兄さん?」

「はい、校庭でひっくり返りそうになったときに抱えて助けてくれたり……いじめっ子を追い払ってくれたり……あと……」

「カシオペアが何処にあるか教えてくれた?」

「……はい、そうです。そのとき、私は小四で……そのお兄さんは」

「中二でしょ。あれはオリオン座、カシオペアはこっちだよって」

「……えっ? ……なんで……」


ウインカーを出して車を停めた。

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