銀河の雫
意識の遠くで、何かを叩く音が聞こえる。
コンコン……
まただ……
これは……ドアをノックする音?
「陽、まだ寝てるの? いい加減、起きなさい。間に合わなくなるわよ」
母親の声が意識の遠くから聞こえる。
「あぁ、分かった」
あれ、声がかすれる。
なんだか、背中がゾクゾクする。
……あいつめ、朝まで付き合わせやがって。
その上、俺に風邪を移しやがったか。
そういえば、同窓会って、一体、どこで何時からなんだ。
部屋を出て、妹を探した。
リビングに降りると、両親が身支度を整えているのが見えた。
父はスーツ、母はドレッシーなワンピースを着ている。
「愛有沙は?」
「まだ寝てるわよ」
「めかしこんで、どっか出かけるの?」
呆れ顔で両親は俺を見た。
「まだ、そんな格好?」
「同窓会の知らせって、どこに置いてある?」
両親は顔を見合わせた。
「馬鹿言ってんじゃないの、今日は、あなたのお見合いの日ですよ」
「……はぁ?」
「愛有沙から、電話行ったでしょ」
「あいつ、同窓会だって」
「そんな知らせ、来てないわよ」
「えっ、ちょっと待っ……」
「あと五分で出かけるから、顔洗って着替えて」
「お見合いなんて行かないし」
「先方さん、もう、会場に着いている時間よ。馬鹿なこと言わないで」
クソッ。
愛有沙のやつ、ハメやがったな。
あいつ、覚えてろよ。
急いで冷水で顔を洗うと、着替えを探した。
妹の部屋のドアをノックした。
「愛有沙?」
「……」
もう一度、ノックする。
「……」
まるで反応がない。
「俺のスーツは?」
「……」
ドアノブを回してみたが、鍵がかかっていた。