キスから始まる恋は甘くて苦い

Scene27 つながっていたい

 蒼一さんの香りがする。

 そう感じて目を開けると見慣れた天井が映った。

 ……私の部屋?

 ほたるは辺りを見回した。
 掛け布団がはだけているのは暑かったからだろうか。全身が汗ばんでいることに気づいて服の袖で額を拭う。

 ああ、蒼一さんの家の匂いだ。

 ふわりと漂った香りが愛しくてパーカーを体ごと抱きしめる。

 私、どうしたんだっけ?

 記憶をたぐりよせたら、ズキンと胸が痛んだ。

 そうだ、蒼一さんを傷つけて。

 熱を出して、迷惑までかけて……

 それなのに私をおぶって家まで送ってくれたんだ。

 慌てて置き時計を見ると『8:15』の数字が見えた。
 カーテンの隙間からこぼれる光が朝が来たことを教えてくれる。

 じゃあ……お礼も言えないまま、別れてしまったの?

 ゆっくりと体を起こす。体は気だるかったけれど、熱は下がったようで昨日のような辛さはない。
 一気に上がったから引くのも早かったようだ。
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