キスから始まる恋は甘くて苦い
「そう……あとで連絡するね」

 けれど、ほたるは申し訳なさそうにうつむいてしまった。

「うん。お願い」

 朝子は何かを察して話を切り上げた。

 最近のほたるが輝いて見えるのは、彼のおかげなんだろうな。

 でも、娘の様子を見ていると順調とは言い難そうだ。

「お風呂入ってくるね」

 水を一杯飲んだほたるがリビングを出ていく。
 見覚えのない服に一抹の不安を感じながらも、昨日の蒼一の誠実な表情を信じて朝子は黙ったままほたるの後姿を見守った。

『昨日はありがとうございました。熱は下がったので、もう大丈夫です。試合、見には行けないけど応援してます。怪我には気をつけてください』

 文章を何度も何度も打ち直してようやくメールを送った。

 もう、遅いかな?

 昼前だから試合はもう始まっているだろう。
 試合会場でスマホを見ることはないだろうし、出発前に送らないと意味がなかったかもしれない。

 でも、つながっていたい。

 会えないなら、文字だけでも。

 返事は、期待しちゃいけないけど――


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