キスから始まる恋は甘くて苦い
「そうですよね。だから雅也さんはお姉ちゃんに会いに来てくれるんですよね」

 ほたるは椅子に浅く座り直し、まひるの白く細い手を握りしめた。

 もしかしたら、今まではそうだったのかもしれない。

 会いに来てくれた理由。
 少しでも好意がなかったら、自ら会いに来てはくれないだろう。

 蒼一さんは、いつも会いに来てくれた。

 だから、今は隣にいないんだ。

「お姉ちゃん、目を覚まして」

 じゃないと、雅也さんに会えないよ?

 好きな人が目の前にいるのに気がつかないなんて。

「ホント、ばかだなあ」

 ほたるの目から涙がこぼれ落ちた。

「ほたるちゃん……」

 この子が泣く姿を初めて見たかもしれない。
 驚きを隠せない雅也だったけれど、どこか安堵するところはあった。
 ほたるは元々、人前では泣かないように我慢する子だった。

 そういうところは、まひると似てる。

 ただ、ほたるはそれがバレバレなのに対して、まひるはそれを隠そうとして強がるから気丈な人だと誤解されがちだった。

「お姉ちゃん、ごめんね」

 熱い涙がまひるの左手にすべり落ちる。
 ほたるは、彼女のそばを離れようとしなかった。


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