キスから始まる恋は甘くて苦い
「残念、だったね」

 不合格の知らせに、励ましの言葉が見つからずに月並みなことしか言えない。

「うん。でも、次は一緒に受験できるよね」

 けれど、まひるはあっけないくらい前向きな口調で雅也を見返した。

 もっと落ち込んでるかと思ったんだけどな……

 負けず嫌いだからてっきり自分を責めているかと思った。

 それとも、強がってるのか?
 
「まあ、うん。そうだね」

 真意がわからないまま話を合わせると、まひるがいきなり唇を合わせてきた。

「ふふ。約束だもん」
「ちょっ、どうしたの?」

 いくら部屋にふたりきりとはいっても、隣の部屋には弟がいる……。

「雅也が慰めたそうにしてるから」

 しかし、誘うような眼差しに……雅也は思わずまひるの顎を持ち上げていた。

 やっぱり、何とも思ってないなんてことは……ないよな。

 腕の中で丸くなるまひるの、髪を撫でる。

 本当に、素直じゃないな。

 上手に甘えられなくて、いつも裏腹な言葉で僕をけしかけてくる。

 容姿端麗で成績優秀で努力家で、最初は非の打ちどころがない人だと思っていたけれど。付き合いが深くなるうちに、実はそうではないことを知っていった。

 まひるは、そういうキャラを無意識に演じている。

 おそらく自然とそうなっていったのだろう。
 周りの期待に応えたくて、誰かのためにがんばってしまうのだ。
 そのことに気づいてしまったから、どこか危うい彼女を愛しいと思うようになって。

 僕の方から交際を申し込んだ。
< 128 / 199 >

この作品をシェア

pagetop