キスから始まる恋は甘くて苦い
「私のこと、好き?」

 顔を上げたまひるが深茶色の髪を耳にかけた。

「急にどうしたの?」
「ねえ、好き?」
 
 戸惑う雅也を見上げる、髪と同じ色のヒトミ。

「……好きだよ」
「本当に?」

 気恥ずかしい質問に真面目に答えたのに、まひるはあまり信じていない様子だ。

「うん。好きだよ」

 溢れる想いを伝えたくてもう一度唇を奪う。

「だったら、どうしてほたるばっかり構うの?」

 それでも不安げに見返してくるまひるに……雅也は髪を撫でていた手を止めた。

「受験勉強見てただけじゃないか」
「本当にそれだけ?」

 言葉や行動で『好き』という気持ちを示しても最近のまひるは疑ってばかりだ。
 ほたるが同じ高校を受けるというから時々教えていたのは事実だ。
 本来ならまひるの役割のところを、受験で大変だからと代わりに見ていただけでお互いに他意はない。

「そう。それだけ」
「でも、ほたるはどうかな?」

 らしくないことを言い出して、さすがにため息がもれてしまう。

「そんなことないよ」
「ほたるはいい子だから……好意を寄せられたら、雅也だって好きになっちゃうんじゃない?」

 完全にマイナス思考だ。思えば、受験がはじまってからまひるの様子は変わっていった。
 彼女にとって1年早く受験することは孤独な戦いだったのかもしれない。
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