キスから始まる恋は甘くて苦い

Scene30 勇気を出せば……

 お姉ちゃんが目を覚ました!

 誰かを呼ぼうとして立ち上がろうとしたとき、ピクリと体が揺れた。反射的に目を開けるとそこは見慣れた病室で。
 すぐに、それが夢だったと悟る。

 うそ……

 やけにリアルだったせいで、喜びから落胆への差が激しくて熱い涙が頬を伝う。

『そんなに泣かないで。ほたるの笑った顔が見たいな』

 夢に見た姉の言葉を思い出し、ほたるは涙を拭いた。

 お姉ちゃんにそう言ってほしいって、心のどこかで思ってるのかな?

 ほたるは、握っていたまひるの手をそっとベッドの上に戻した。

「雅也さん?」

 顔を上げると、雅也の姿は見当たらなかった。けれど、机の上にはまだ彼の私物が置かれている。
 よく見ると窓の外は夕焼け色に染められていた。まだ面会時間内だけれど、随分と眠ってしまったようだ。

 いくらなんでも寝過ぎ……

 雅也の前で盛大に寝てしまったことが恥ずかしくなり、ほたるはそそくさと帰る支度をして病室を出た。
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