キスから始まる恋は甘くて苦い
 純粋な眼差しに決心が鈍りそうになる。自分がまひるを追い詰めたと告白したら、この無垢なヒトミはどんな色を見せるのだろう。

 僕は……軽蔑されたくなくて、自分を守ろうとしていたんだな。

 自己保身に呆れながらも、雅也はどこか吹っ切れた顔をしていた。

「まひるを追い詰めたのは僕なんだよ」

 彼はそう切り出すと、あの日のことを話し始めた。

「――だから、ほたるちゃんが責任を感じることはないよ」

 最後にそう締めくくり、息を吐き出す。

「そんな……そんなこと言わないでください。雅也さんだけのせいじゃないです。私にも責任はあります」

 雅也の話にほたるは動揺していた。それでも言葉を選んでいるようにも見える。

 軽蔑なんかするわけない、か。

 ほたるは自分とは違う。他人を思いやれる心のあたたかい子なのだから。
 愛されているようで、実は周りに愛を与えている。だからまひるや蒼一が無条件に可愛がりたくなるのだろう。
< 135 / 199 >

この作品をシェア

pagetop