キスから始まる恋は甘くて苦い
 あのときの蒼は、少し怖かった。

 声を掛けづらいほどピリピリしていて感情任せに振る舞っているようで。今まで見たこともないような姿はどこか危うさを感じさせた。
 大将戦を制すれば優勝という状況で敗れてしまい、蒼一はようやく我に返ったように見えた。

「みんな、ごめん」

 そう言ってうなだれる姿に、彼の弱さを初めて見て苦しくなった。

「蒼ね、あまり調子が良くなかったみたい」

 その原因が眼前のこの子にあるのだろうとは容易に見当がつく。

「そう、ですか……」

 思い当たる節があるのかほたるはうつむいた。

 蒼の何を知ってるっていうの?

 今さらながら嫉妬心が込み上げてきて、とっさに身を守るように腕を組む。

 あたしは……蒼がどれだけ努力してきたか、マネージャーとしてそばにいたからよく知ってる。

 付き合いの浅いほたるより、蒼一のことを理解している自負が瞳にはあった。

 蒼は、自分のことより他人のことを優先してしまう優しい人だか、。

 限界まで我慢してしまうところがある。

 あたしのときも、そうだったから……


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