キスから始まる恋は甘くて苦い
「話が長くなってごめんね」

 蒼一には兄に対する恋愛感情と手紙のことは伏せて話した。喉元まで出かかったけれど、瞳はそれを何度も堪えた。

「本当だ。すっかり夜だな」

 次にやってきた電車に乗り込むと、瞳は隣に座る蒼一に寄りかかった。

「辰巳くんは、兄弟いるの?」
「いや、ひとりっ子」
「じゃあ共感しづらいかな」
「想像はできるよ。寂しいよな」

 蒼一の手が瞳の肩に回る。行動がスマートで、意識されていないことが嫌でも伝わってしまう。

「わかったような口利かないでよ」
「はいはい」
「……辰巳くんって、女たらしだよね」
「人聞きの悪いこと言うなよ」
 
 瞳が少しだけ微笑んで、蒼一はホッとした。
 
「でも、辰巳くんの彼女になったら幸せになれそう」

 言ってしまってから、瞳はハッとした。

「じょ、冗談だからね」

 しまったという顔で見上げてくる瞳に、真面目な表情を返す蒼一。
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