キスから始まる恋は甘くて苦い
 瞳は次第に蒼一を振り回すようになった。
 挙句の果てには告白してきた先輩と付き合い始めて二股をかけた。
 
『俺は用無しってことでいい?』

 あえてバレるように仕向けると蒼一は疲れたように別れを告げた。少しでも引き留めてくれなかったことは、予想通りすぎて笑えるほど。
 
 でも、やっと解放してあげられた。

 恩を仇で返して本当に悪いと思ってる。

 だけど、蒼の重荷にはなりたくないから。
 
 あたしが、素直で良い子だったら好きになってもらえたかな?
 
 ――そんなの、あたしじゃないよね。

 兄が好きだと言ってくれた自分を無理して変えようとまでは思えない。
 
 行き場のない想いを受け止めてくれたキミは、あたしの恩人なんだから。

 恩人を不幸にするわけにはいかないじゃない……
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