キスから始まる恋は甘くて苦い
「永瀬さんは、蒼のなんなの?」

 彼が幸せになれるならもう黙っていようと思ったけれど、苦しませるのなら話は別だ。
 瞳の質問に、ほたるはハッと顔を上げた。

「今の蒼は苦しそうで……正直見てられない」
「それは……」

 自分のせいかもしれないと言いかけて慌てて口をつぐむ。

「蒼一さんにとって、私はただの後輩です」

 ほたるは、瞳が目をみはるほどはっきりとそう言い切った。

「でも、それを変えたいから……自分の気持ちをちゃんと伝えようと思います」
「…………」
 
 ひたむきな眼差しに、兄もこんな表情であの手紙を書いたのかもしれないと……ふと思った。

 あたしとは、本当に正反対ね。

「だけど、うまくいくとは限らないよ? あたしの方が蒼に釣り合ってると思うし」

 この期に及んで試すようなことを言ってしまうのは、恩人を簡単に託す気にはなれないからだ。

「…………」

 一瞬、ほたるは怯んだように短く息を吸い込んだ。

「でも、譲れません」

 そして、今度は迷いなく答えた。
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