キスから始まる恋は甘くて苦い
「……そう」

 うらやましくなるほど素直で、意外に頑固な子だと瞳は思った。
 
「だったら蒼に湿った顔させないでよ? こっちまで気分が暗くなるじゃない」
「――はい!」

 毒づいてみせたのに、ほたるは元気よくうなずいている。

 ……あたしのこと、怖くないの?

 自分でもキツイ口調から同性に嫌われがちなことはわかっている。だけど、ほたるはあまり気にしていないようで調子が狂ってしまう。

「じゃあ、そろそろ行くね」
「あっ、待ってください」

 踵を返そうとして、再び呼び止められる。

「もう、何よ?」

 瞳はなんだかおかしくなって、込み上げてくる笑みを引き締しめてほたるに向き直った。

「良かったら召し上がってください」

 瞳の前に紙袋が差し出される。
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