キスから始まる恋は甘くて苦い
「えっ? 蒼に渡すものじゃなかったの?」

 大事そうに持っているから、てっきりそうだと思っていた。

「最初はそのつもりでした。でも、急に真野先輩に食べてもらいたくなって」
「……は?」

 そのため瞳はひどく驚いた。
 この子の考えていることは、いまいち理解できない……。

「あっ、でも、失礼ですよね」

 自分でも突然何を言っているのかわからなくなり、ほたるは急いで紙袋を引っ込めた。

 渡した方がいいような気がしたのは、なんでだろう?

 続けて「ごめんなさい」と頭を下げ、しゅんとしてしまったほたるを見て瞳は思った。

 なんか、いじめてるみたいじゃない?

「いいよ。もらっとく」

 瞳は慌てて手を伸ばした。

「ありがとうございます!」
「こちらこそ。……ありがとう」

 まんざらでもなさそうに紙袋の中をのぞく瞳に、ほたるは嬉しそうな顔をした。

「チーズケーキなんですけど、苦手ではないですか?」
「ううん……大好き」

 瞳は、ほたるが見惚れてしまうほどキレイな微笑みを湛えた。
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