キスから始まる恋は甘くて苦い
 食堂に移動して窓際の席に座る。ガラス張りの窓からは中庭が見えて、瞳は池の周りに咲く紫陽花を眺めた。

 蒼は、本気になれる子に出逢えたんだね。

 うらやましくもあり、嬉しくもある。
 
 本当に、蒼の彼女になったら幸せだろうな。

 あたしにも、いつか現れるかな?

 幸せにしてくれる人と、幸せにしてあげられる人。

 蒼一に愛されている彼女が作るものを口にしたら、自分も少しは幸せな気分をもらえるような気がして。瞳は紙袋から白い箱を取り出した。
 
 わ、おいしそう……

 中身はワンホールのベイクドチーズケーキで、丁寧に切り分けられている。

 蒼を想って作ったはずなのに、本当に食べていいの?

 しばらくためらったけれど、甘い香りに誘われてひとかけらを口へ運ぶ。

「……っ」

 すると瞳の目から涙がこぼれ落ちた。
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