キスから始まる恋は甘くて苦い

Scene35 友達

 中間考査最終日。ホームルームが長引いてしまったため、ほたるは急いで昇降口へ向かっていた。

「……あっ、こっち来たよ」

 3年生の下足箱の方をのぞいたとき、誰かと話している人物が瞳に見えた。けれど振り向いたのは別人で、ほたるは踵を返した。

「ねえ、昨日うちのクラスに来たよね?」

 すると、スマホの通話を切った女子生徒――田中に話しかけられて足を止めた。

「A組には行きました」

 向き直ったほたるが彼女をじっと観察する。

 蒼一さんのクラスメイト……後姿が真野先輩に似ててびっくりした。

「あんた、辰巳とよく一緒にいるよね?」
「え? ……はい」
「それ、辰巳に渡すもの?」
「…………」

 正直に答えると、借りた服とケーキの入った紙袋を指差されてほたるは反射的に後ずさった。

「渡しといてあげるよ」
「いえ。自分で渡します」

 不穏な空気を察して荷物を後ろ手に隠す。昨日、全部見られていたのだ。蒼一を探しに来るかもしれないと、ここで待ち伏せしていたのかもしれない。
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