キスから始まる恋は甘くて苦い
 どうして……私が目障りだから?

 まさかそんなことはないと否定したいけれど、蒼一の魅力を思うとありえなくはない。ほたるはぐるぐると考えを巡らせた。

 なんにしても、早くここから離れなきゃ。

 誰かと通話していたということは、もうひとり来てしまうかもしれない。

「いや、避けられてんじゃないの? あんたがしつこく付きまとうから」
「…………」
「辰巳の周りをうろちょろすんなよ。目障りだから」

 やっぱり忠告しに来たのだ。生まれて初めて上級生にからまれてしまった。

 でも、この人も蒼一さんのことを好きなんだ……

「ちょっと、聞いてんの?」

 じっと見上げてこられると居心地が悪い。田中はほたるへ詰め寄った。

「それはできません」
「……は?」
「ごめんなさい」

 呆気にとられている彼女に頭を下げた。その瞬間、手から紙袋が消えていた。
 
「あっ、返して……きゃっ!」

 走り去る女子生徒を追い、廊下を走り出す。けれど数メートル先でほたるの髪が後ろへ引っ張られた。
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