キスから始まる恋は甘くて苦い
「じゃあ、お留守番よろしくね。いってきます」
「いってらっしゃい」

 髪を切ったあと、朝子は病院へ向かった。母を見送ったほたるが夕飯の支度を始める。

 蒼一さん、驚くかな……

 思いつきではあったけれど、後悔はしていなかった。むしろ借り物を失くしたことの責任を取るには足りないくらいだ。

 ちゃんと謝って、弁償させてもらわなくちゃ。

 調理を終え自室で充電中のスマホを取りに行く。まず蒼一に連絡して状況を説明しないといけない。

 最初になんて言おう?

 曖昧な別れ方をしてしまったから、会話のきっかけを悩んでしまう。

「……!」

 コードを抜いて立ち上げた途端に着信があり、画面の文字にほたるは息を呑んだ。

 こ、心の準備が……

 ここは勢いに任せた方がいいと判断し、思い切って通話ボタンを押す。

「も……」
『ほたる?』

 すると、食い気味に蒼一の声がした。
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