キスから始まる恋は甘くて苦い
 6月も半ば、梅雨だというのに今年は雨が少ない。気温はそこまで高くはないけれど、湿気が多いせいか防具袋を運ぶ蒼一の体は汗ばんだ。
 前期のテスト期間にも関わらず、明日の土曜日は全国大会団体戦の予選があるそうだ。

「竹刀、持ってみてもいいですか?」

 些細なことでも力になれないかと蒼一の顔をのぞき込む。

「いいよ」

 彼は快く長い竹刀袋を手渡した。2本ほど入っていて思ったよりも重みがあった。

「運ばせてください」

 ほたるは取り返されないようにしているのか、袋をぎゅうっと抱きしめた。

 カワイイから、いっか。

 本当は荷物を持たせるなんてさせたくないけれど、可愛さに免じてそれを許してしまう。
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