銀河の雫
「……では、そろそろ、ここはお若いおふたりに任せて……」
おぉ、この台詞、小説のお見合いシーンでも出てくるな。
本当に言うんだな。
仲人さんが「食事にでも」と促すと、「そうですね、車は?」と母が焚きつける。
「いや、僕はちょっと……」
強めの風邪薬を飲んでいるから、絶対に運転はできない。
「それなら、私が……」
「お願いします」
俺は食い気味に答えた。
彼女、眉間にシワがよってる。
ありえないんだけどって顔してたわ。
まぁ、いいか。
助手席に乗り込むと、女性……月浦しずくは、エンジンをかけ、ハンドルを切った。
「普段から、運転はなさらないんですか?」
間を持たせようと、話しかけてくる。
「はい、電車通勤です。車の運転は自信が無くて」
まぁ、風邪だと言って、気を遣わせるのもアレだしな。
あぁ、頭がボーッとする。
薬のせいか。
「ずっと仙台でお仕事を?」
「いいえ、もともとは東京にいました」
「転勤ですか?」
「……」
ゲホゲホッと、思わず、咳き込む。
やばい、内緒にしようと思ったのに。
狭い車内で本当に申し訳ない。
少し、窓を開けた。