銀河の雫
「風邪……ですか?」
「はい、こっちに帰ってきたら、妹が風邪を引いてやがって、あいつ、クソっ」
だまし討ちに遭った怒りが込み上げて、思わず、素が出てしまった。
「……あぁ、お大事になさってください」
彼女、かなり顔が引きつってる。
これはなにか話しかけないと。
「月浦さんは、ずっと東京ですか」
「はい、高校卒業してから、ずっとあっちです。今は社用車で営業の仕事してます」
ゾクゾクするな。
「これから、どこに食事に行きますか?」
「……」
「あの……お店……」
「……あ、あそこにしましょう」
とっさに、適当な店を指差す。
「なんぶっ……あぁ、南部家敷ですね、子供の頃、行ったなぁ。わー懐かしい」
……え? 待って。
えっ、えっ……なんか引いてる?
めっちゃ棒読みだし。
お店のチョイス、失敗した!?
けど、こんな熱上がってきてる感じで、食欲湧くかな。
彼女も俺がこんなで気まずいのか、食欲がありそうには見えないな。
結局、体調不良を悟られないことに必死で、何を食べても味はしなかった。