銀河の雫
帰りの車内。

薬が効いてきた気がする。

こちらからも、話題を振らないとだな。

お見合いっぽいことでも、聞いてみるか。

「月浦さんは、お休みの日、何をしてるんですか?」

ベタ過ぎたか?

「あぁ、友達と映画観たり、美術館なんかも好きです」

「美術館ですか?」

「はい、ダリ展をたまたま見たんですけど、ハマってしまいまして」

サルヴァドール・ダリ?
あの時計がベローンとした絵とか。

そんなこと言ったら馬鹿にされるかな?

「どんな絵だったんですか?」

「はい、ガラという女性を描いた作品がとても素敵でした」

「ガラ……ですか」

「はい。ガラを聖母マリアに見立てた絵が印象的でした。こんな風に愛した人を描き続けるなんて素敵な人だったんだなって」

「はい」

へぇ、案外、ちゃんと見てんだな。

「それで……いつか、ダリ美術館のあるスペインに行ってみたいなぁ、なんて」

そっか、スペインね、いい夢じゃない。

「……ところでそちらは、週末は何をされてるんですか?」

えっ、俺?

仕事以外、ほんとに何もしてないなぁ。

「いやぁ、僕は……本を読む程度で、特に何も……」

「そういえば、お仕事はどんなことをされてるんですか?」

「仕事ですか?」

「はい」

「……」

いつも誰かに説明しても、ポカーンとされるんだよなぁ。

今、頭回ってないし、上手く説明できない……


「公務員に似た感じというか」

「公務員さんなんですか?」

「いえ、公務員ではないんですけど……あの……次に会ったら話します」

次?

俺、何言ってんだ。

この月浦しずく、次なんて考えてないだろう。

あぁ、……俺も。

「あっ、もしかして無理やりお見合いさせられた感じです……よね? 私もそうなんですよ」

「……」

あっ、バレてた?

「急に法事だとか言われて帰省させられて、唐突にお見合い行ってこいですよ。ふざけてますよね」

彼女は早口でまくし立てた。


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