銀河の雫
翌朝、そっと病室を覗いた。
所長の妹さんや弟さんとおぼしき人たちがベッドを取り囲んでいた。
……良かった。
思わず、胸をなでおろす。
あとは所長の到着を待つばかりか。
そのまま病室に背を向け、正面玄関へ続く階段を下り始めた。
「月浦さん、待って」
呼び止められ振り向く。
女性が私を追いかけ、走ってくるのが見えた。
「私、日向陽の妹です。愛有沙といいます」
あぁ、さっき病室にいた女性か。
顔を上げ、思わず見とれた。
背が高くて端正な顔立ち。
まるでモデルのような美貌。
お母様にそっくり……所長にも。
私が挨拶を返すと、突然、深く頭を下げた。
「ごめんなさい」
「……えっ?」
「……十五年前、お見合いの邪魔をしたのは私です」
「どういう……ことですか?」
「私……当時、とてつもなくブラコンで……」
バツが悪そうに、眉間にしわを寄せて私を見る。
「お見合い、失敗して欲しくて、それでスーツを隠しました」
「……だから……あの格好だったの?」
「とても本気とは思えないから断って欲しいって……」
くすっと、思わず笑いがこみ上げる。