銀河の雫
「そっか、残念……他には?」

「他?」

「うん、大人になってからとか」

まだ食い下がってくるのかと、ちらっと薫さんを横目で見た。

「特には……あっ!」

薫さんはビクッと肩を震わせ、スマホを落としそうになった。

「どうした? なんか思い出した?」

「そういえば、お見合いしたことあったなと思って」

「へぇ、お見合い? 古風だね」

「うん……まぁ……一回だけ」

「……で、どうだったの?」

「……ふっ、フラれたよ」


……けれど、一体、どんな風に?

お断りの返事をもらったことは記憶にある。

でも、詳しいことは何も思い出せなかった。


「そうなの? ねぇ、どんな相手だったの?」

肘で小突き、答えを催促してくる。

「なんかね、黄土色の毛玉だらけのセーター着て、流行遅れのピチピチのスリムジーンズ履いてた。……髪は寝癖でボサボサで」

「何、それ、お見合いの日にそんな感じ? 舐められてない?」

「完全にやる気ゼロだよね」

「でフラれたんだ、そのダサ男に」

「うん……ダサ男にフラれたぁ」

思わず顔を見合わせ、ふたりで笑った。

「あんた、つくづく男運ないね」

「でしょ、だから、もういいんだよ。諦めてる」


はっと、薫さんは何か思い出したように、スマホを机に置いてこちらを向いた。


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