銀河の雫

同期が次々に席から立ち上がり、帰ろうとしているのが見えた。



「しずくさん、まだ頑張ってるの?」

振り返ると、薫さんが心配そうに立っていた。

「あっ……うん、まだ終わらなくて」

「そっか、じゃあ先に帰ってるね」

肩にそっと手を置く。

「うん、お疲れ様」

「話したいことあるから、後でLINEするわ」

「うん、じゃあ後で」

振り返って手を振ると、ドアの向こうに消えていった。



急に心細さと、焦りの気持ちが湧いてきた。

気を取り直してパソコンに向かおうとしたとき、所長が立ち上がった。

「ミーティングに行ってきます。切りのいいところで上がって下さい」

「……月浦さんも終わったら、そこにファイルを置いといて。後でチェックしておくから」

「っ、分かりました。お疲れ様です」




「どう、月浦さん、作業は進んでる?」

振り向くと派遣の先輩、青山さんが笑顔で立っていた。

とても華奢で色白。

スラっと背の高い、涼しげな目元の清楚な美人。

思わず見とれるほど、艶のあるロングヘアが背中を覆っている。

私より全然若いな。

二十代後半ってとこだろうか。

「……ここが分からなくて、……それで悩んでました」

「あぁ、ここはね、マニュアルのこの表を参考にして、該当するかどうか判断して下さい」

愛想がよくて、優しそうな先輩。


……今日は週末。

皆、早々に仕事を切り上げ、次々に帰宅の途についていた。

「……これからもさ、分からないことは、なんでも私に聞いてね」

「ありがとうございます。でもご自身の業務でお忙しいのでは……」

「私は慣れてるからいいの、大丈夫だから……」



< 24 / 49 >

この作品をシェア

pagetop