銀河の雫
こんな仕事のできない私を、所長はどんな風に思っただろう。
時間を食いつぶす面倒な派遣が来たと、がっかりしているだろうな。
露骨に嫌な顔をされるに決まってる。
「次のここは理解してる?」
「……すみません、マニュアルを見てもいいですか」
「分かった。聞きたいことあったら呼んで」
「はい、すみません」
カタカタとキーボードを叩く音と、マニュアルの紙をめくる音だけが響く。
「あの……所長」
側まで行き、声を掛ける。
「ちゃんとできてるか、画面見ていただけますか?」
「……あぁ、分かった」
所長が立ち上がろうとしたとき、何か光るものが落ちた。
「落ちました……」
拾い上げ、差し出す。
キーホルダーのようだった。
球体の中に宇宙が広がっている。
その横には、雫型のキラキラした飾りも付いていた。
なんだか、女性が好みそうなキーホルダー……
……彼女とお揃いとか?
「……月浦さん」
「はい」
「覚えてないの?」
「……何を……ですか?」
「俺のこと、覚えてないの」
「……えっ?」
意表を突いた問いかけに、思わずドキッとする。
私の横に立ってモニターを見た。
「うん、これでいいよ。お疲れ様」
「あの……」
「お子さん待ってるでしょ? 週末ゆっくり休んで下さい」
「……分かりました。お先に失礼します」
所長だけを残して、閑散としたオフィスを後にした。