銀河の雫
いつもなら川を覗き込むと、魚が舟に沿って泳ぎ、反対方向に流れていく落ち葉が見える。
今日は、水面が真っ暗だ。
吸い込まれそうな怖さを感じ、思わず身震いをした。
まるで異世界にでも繋がっているように思えてくる。
顔を上げて、男性を見る。
黒い水面に、指先で境界線を描くように触れている。
なんだろう……この感じ。
居心地が悪くて早く帰りたかった。
だけど、今はなんとなく、このまま時間が止まってもいいとすら思っている。
それは不思議な感情だった。
私……この人のこと、昔から知ってる?
そう錯覚させるような穏やかな気持ちになる。
渓谷の奥深く、舟は折り返し地点の小さな桟橋に到着した。
散策するように船頭さんに促され、岸に上がる。
頼りない柵に囲まれた、古びた木の橋を渡って先へ進む。
小道の横に、小さな料金箱があり、ビニール袋に入った石の玉が置いてある。
前、家族連れやカップルが、それを楽しそうに投げてたな。