銀河の雫
「あっ、運玉ですよね。あの穴に入れると願いが叶うんでしたっけ」
川の対岸の切り立った岩盤に小さな穴があるのを指差した。
男性は無言でポケットから小銭を出して料金箱に入れる。
そして玉を対岸めがけて投げ始めた。
「暗くてあんまり見えないですね、入りますか」
「僕、中学時代、野球部だったんですよ」
「あぁ、はい」
腕を振り上げるたび、玉は川に落ち、ポチャンッと、寂しげな音を立てた。
「これで最後……」
振り被って、力いっぱい投げられた玉は岩に当たり「カツッ」と音を立てた。
「あっ、すごい、多分入りましたね」
「……はい。入りました」
男性の横顔が、心なしか満足気に、微かにほほえんだように見えた。
その表情になぜか胸がドキッとした。
「何かお願いしたんですか」
動揺を隠すように聞いた。
「……内緒です」
私の前を歩きながら、低く小さな声で答えた。