銀河の雫
――翌朝
いつものように出社した。
けれど、執務室の広い空間は、今までと空気が違って思えた。
朝礼で話す所長と自然に目が合う。
所長は目を細め、穏やかな笑みを浮かべた。
同じように笑みを返す。
それにしても私がお見合いを断ったってどういうことだろう。
でも、私が断らなかったら、受けていたということ?
あはは……
いや、まさか、それはないか。
相手は超エリートのハイスペック。
待って。
でも、なんで所長はまだ独身なんだろう。
お見合いのとき、四歳年上と言っていたから、四十二歳か。
仕事にしか興味のない人なのかな。
まさか、女性に興味がないとか……
まぁ、どっちにせよ、私には関係のないことか。
最繁忙期を迎え、配布される案件が増えていく。
今日も残業。
ひとり、またひとりとドアに消えていくのを横目で見ながら、焦って仕事を進める。
もう、ほとんど残っている人はいない。
「月浦さん、まだ終わらないの?」
桧山課長が斜め前の席から、もういい加減帰りたいという雰囲気で声をかけてきた。
「すみません……ちょっと手間取ってまして」
「じゃあちょっと見せてよ」
桧山課長が立ち上がろうとすると、「桧山課長、今日は上がってもらって結構です」と、低い声がした。
振り返ると、所長が私の席の後ろに立っていた。
ぎゅんと心臓が跳ね上がる。
この間からどうかしちゃったかな。