銀河の雫

「あ……所長、私、忘れ物しちゃって」

振り返ると、コートを羽織り、バッグを持った青山さんが立っていた。

「あぁ、忘れ物……ね」

「月浦さんは、まだ終わらないの?」

「あっ、あの……今、共有事項について教えていただこうと……」

「そういうのは、時間内に私が教えますので、もう上がってください」

青山さんの声は、怒りで震えている。

「あっ……す……すみません」

そうだった。

所長の優しさに甘えて、図に乗っていたかも知れない。

ただでさえ忙しいのに、私は所長に負担をかけている。

それに、このふたりの邪魔をしているんだ。

「じゃあ……私、上がりますので。お疲れさまでした」

慌てて帰り支度を整えた。

「あっ、待って」

所長に呼び止められた。

「あ……あの……お忙しいのに、すみませんでした。それじゃあ」

私はふたりに向かって頭を下げた。

そして、逃げるようにその場から立ち去った。

走ってエレベーターホールに向かう。
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