銀河の雫
「ところで所長って、全然、パワハラ体質じゃなくない?」

彼女はコーヒーを飲み干しながら言った。

「そうなんだよね、なんであんな噂が立ったのかな?」

「それな。高橋さんもずっとあの席で普通に働いてるし」

「私もパワハラ、モラハラって感じたことないなぁ」

「やっぱり偶然が重なってそう見えただけなのかな?」

「そうなのかもね。もしくは?」

「もしくは?」

私の耳元で声を潜めて言った。

「誰かにひがまれて変な噂流されたとか?」

「えぇ? あのエリート、俺より先に出世しやがってムカつくわ、みたいな」

「あはは……」

「男の嫉妬ほど食えないものはないっていうからね」

「え~、怖っ。……私もいろいろと気を付けないと」

「あぁ、青山さん?」

「うん、もう目をつけられてる気がする……」

「だね。表面的に判断してさ、信用し過ぎると怖いね」

「え~、薫さんのことは信じていい?」

「あたしは……そうだよね、あたしらだって最近知り合ったばかりだもんね」

「はぁ~、誰も信じられないわ」

私は頬杖をついて頬を膨らませ、横目で薫さんを見た。

「あはは……信じてくださ~い」

「棒読みだし」




なぜ日向所長にパワハラ・モラハラ疑惑が浮上したのか……


まさか、身をもって知ることになるとは、まだ、夢にも思っていなかった。


< 67 / 81 >

この作品をシェア

pagetop