銀河の雫
「月浦さん、勝手な判断で誤送信は大問題ですよ」
青山さんの声が大きかったので、周囲がシーンと静まり返った。
「……」
どんな言葉を発したらいいのだろうかと、考えた。
……何も思い浮かびはしなかった。
青山さんは、このローンセンターに来て五年。
派遣社員の中で一番のベテラン。
転勤の多い職員さんよりも仕事を知っている。
事実上、ここを牛耳っている、一目置かれた存在。
役職の付いた職員にさえ仕事を教えているほどの人。
その青山さんがメールを送った張本人だと言っても、おそらく誰一人信じてはくれないだろう。
「すぐに対応しないと……」
「分かりました、やりま……」
「私が担当を代わります。副所長、それでいいですよね?」
少しの間、沈黙が流れた。
「青山さん、お願いします。……月浦さんはもう外れてください」
「……はい、分かりました」
声はかすれ、脚はガクガクと震えていた。
席を立つと周りに人垣ができていた。
その視線が突き刺さる。
きっと、あっという間に私が大きなミスをしたと噂になるだろう。
もう、ここにいられるわけなんてない。
薫さんが呼ぶ声が聞こえた。
けれど、視線を合わせずに逃げるように執務室を後にした。
帰り道、涙が止まらず、地下鉄に乗ることすらできなかった。
暗い道を選んで、人に顔が見られないよう、とぼとぼと歩く。
懲戒解雇されるかも知れない。
私には、この状況をどうすることもできない。
もう、終わりだ。
いつだってそうだ。
これまでだって、自分でなんとかしてきた。
いつだって、誰も助けてはくれない。
ぼんやりと歩いていると、スマホが振動した。
派遣会社からの電話だった。
鼓動が早くなる。
「はい、月浦です」
「派遣会社の渡辺です」
「……お疲れ様です」
「月浦さん、副所長さんから連絡をいただきました。何のことだか分かりますか?」
「はい……」
「明日は出社せずに自宅待機とのことでした」
「そうですか、分かりました」
「経緯の聞き取りをしたいので、明日、来てもらえますか」
「……はい」
青山さんの声が大きかったので、周囲がシーンと静まり返った。
「……」
どんな言葉を発したらいいのだろうかと、考えた。
……何も思い浮かびはしなかった。
青山さんは、このローンセンターに来て五年。
派遣社員の中で一番のベテラン。
転勤の多い職員さんよりも仕事を知っている。
事実上、ここを牛耳っている、一目置かれた存在。
役職の付いた職員にさえ仕事を教えているほどの人。
その青山さんがメールを送った張本人だと言っても、おそらく誰一人信じてはくれないだろう。
「すぐに対応しないと……」
「分かりました、やりま……」
「私が担当を代わります。副所長、それでいいですよね?」
少しの間、沈黙が流れた。
「青山さん、お願いします。……月浦さんはもう外れてください」
「……はい、分かりました」
声はかすれ、脚はガクガクと震えていた。
席を立つと周りに人垣ができていた。
その視線が突き刺さる。
きっと、あっという間に私が大きなミスをしたと噂になるだろう。
もう、ここにいられるわけなんてない。
薫さんが呼ぶ声が聞こえた。
けれど、視線を合わせずに逃げるように執務室を後にした。
帰り道、涙が止まらず、地下鉄に乗ることすらできなかった。
暗い道を選んで、人に顔が見られないよう、とぼとぼと歩く。
懲戒解雇されるかも知れない。
私には、この状況をどうすることもできない。
もう、終わりだ。
いつだってそうだ。
これまでだって、自分でなんとかしてきた。
いつだって、誰も助けてはくれない。
ぼんやりと歩いていると、スマホが振動した。
派遣会社からの電話だった。
鼓動が早くなる。
「はい、月浦です」
「派遣会社の渡辺です」
「……お疲れ様です」
「月浦さん、副所長さんから連絡をいただきました。何のことだか分かりますか?」
「はい……」
「明日は出社せずに自宅待機とのことでした」
「そうですか、分かりました」
「経緯の聞き取りをしたいので、明日、来てもらえますか」
「……はい」