世界で一番大切な親友へ
きらめきの影で
雨続きだった梅雨の合間に、奇跡のように抜けるような青空が広がった日のことだった
窓の外からは、初夏の力強い太陽に温められたアスファルトの匂いが、そよ風に乗って教室まで届いている
「ねえ、美優。今日の放課後、ちょっと遠回りして帰らない?」
終礼が終わった直後、乃愛が嬉しそうに提案してきた
ここ最近、保健室に行くことが増えていた乃愛だったけれど、今日の彼女はまるで体調の悪さなど吹き飛んでしまったかのように、瞳をきらきらと輝かせていた
「遠回り? いいよ。どこか行きたいところでもあるの?」
「うん。駅の裏側に新しくできた、小さなタルト専門店に行ってみたいんだ。美優、甘いもの大好きでしょ?」
「行く! 絶対行く! 乃愛、誘ってくれてありがとう!」
美優が勢いよく立ち上がると、乃愛は「ふふ、やっぱり食いついた」と、いつものように優しく微笑んだ
通学路を外れ、普段は通らない静かな住宅街の坂道を二人で歩いていく。