世界で一番大切な親友へ
けれど、その涙は決して「痛い」からでも「怖い」からでもなかった


美優といっしょにいる、この一分一秒を奪われたくないという、切実な願いだった。


「でも、乃愛が苦しいなら……!」


「お願い、美優。……隣にいて、手を、握っててくれるだけでいいから……」


乃愛の弱々しい懇願に、美優はナースコールから手を離すしかなかった。


美優はベッドのフチに腰掛け、乃愛の震える両手を、自分の両手で包み込むようにして握りしめた


「……ハァ、……ハァ、……っ」


乃愛は美優の手の温もりを確かめるように、何度も深く、浅い呼吸を繰り返す


10分、いや、20分が経っただろうか


窓の外の夕焼けがゆっくりと消え去り、部屋の中に深い夜の闇が忍び込んでくる頃、乃愛の呼吸はようやく少しずつ落ち着きを取り戻していった


< 49 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop