転生聖女の労働環境改革〜処刑まで残り180日。ブラック教会をホワイト化して生存ルートを勝ち取ります。監視役の騎士様がいつの間にか私にだけ過保護な最強の番犬に!

「……謹んで、その『契約』をお受けしよう。期間はそうだな『終身』でどうだろうか」

 ジークの甘く低い声が、理央の耳に届く。
 横から伸びた大きな手が理央の顎を優しく捉え、振り向かせる。
 彼の視線が真っ直ぐに彼女の目を見つめる。
 氷蒼の瞳の中に、驚愕と羞恥が綯い交ぜになって訳の分からない表情をしている自分が見える。

「つつしんで……って、ちょっと待って、心の準備が……んっ」

 抗議の言葉は、重なった唇に甘く塞がれた。
 目を見開く理央の腰を抱き寄せ、ジークはこれまでの冷徹な騎士の仮面を完全に脱ぎ捨てたように、深く、そしてひたすらに甘く口づける。

「ん、ちょっ……子どもたち、見てるっ……!」

「見せておけばいい。お前が俺のものだと、世界中に知らしめる」

 息継ぎの隙間に落とされた独占欲の塊のような言葉に、理央は抗うことを諦め、彼の胸にそっと額を預けた。

(ああもう、この過保護な騎士様には一生勝てそうにないわ……)



 フォリフォンヌ王国の年代記には、当代聖女リオ・アリミヌエの名が一度は記され、やがて静かに抹消された。
 だがそれは、決して悲しい結末ではない。
 息苦しい聖女という『鳥籠』から抜け出し、ひとりの自由な女性として生きる権利を勝ち取った証なのだから。

 混乱の時代、ひとりの少女が現れ、希望の光を灯した。
 歴史の表舞台から痛快に寿退社を決めた彼女は、その後も最強の過保護騎士の『溺愛』という名の監視を受けながら、愛する人たちと共に、いつまでも忙しく、そして賑やかな日々を生きたという。

 <完>
< 151 / 151 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:1

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

表紙を見る 表紙を閉じる
※現在リライト中です!近日中に全話再公開します! レコード会社でA&Rとして働く野口柚子は、終電を逃し続ける日々に疲れ果て、会社近くの中目黒へ引っ越してきた。 深夜の整体と、朝4時まで営業するカフェ『LAMP』だけが唯一の息抜き。 ある夜、カフェで物静かな青年と出会う。 しかも同じマンションの隣同士の住人だった。 九条と名乗った彼は、映画やドラマの主題歌を手がける人気ミュージシャン・蒼(SOU)。 依頼を受けた次回作のテーマにある『普通の独身社会人による一人暮らしの感覚』を掴むため、この街へとやってきたのだ。 なぜか柚子だけが彼の正体に気づかないまま。 数年前、無名だった彼が手にした不採用通知。 たった一行だけの手書きの文字列。 送り主は——野口柚子。 世界中が『蒼』と呼んでいる人を、柚子だけが知らなかった。 深夜のカフェで、川沿いの夜道で。 距離が縮まるほど、秘密が積み重なっていく。
表紙を見る 表紙を閉じる
伯爵令嬢ユフィーリア・エーデルガルトは、成人の儀式で授かったスキルが【待機】と【接続】という地味なものだったため「嫁の貰い手もいない」と父に追放されてしまう。継母の息子である弟カイルばかりが溺愛される日々に終わりを告げ、彼女は辺境の街ルシェルシェへと辿り着いた。全財産は銀貨三枚。 行く当てもない中、冒険者ギルドで受付嬢の職を得たユフィーリアは、温かい人々に囲まれて第二の人生をスタートさせる。脳筋だけど憎めないブロン、情報屋のリュート、魔女のグリゼルダ、そして豪快なギルドマスターのガルド。 王都の冷たい空気とは違う、この街の優しさが彼女の心を癒していく。 そんなある日、黒いマントに身を包んだ謎の騎士レオンティウスが現れる。隣国の第二王子にして騎士団長である彼は、極秘任務で辺境を訪れていたのだが、ユフィーリアに一目惚れ。毎日のようにギルドに通いつめるも、ユフィーリアは彼の想いに気づかない。 一方、ハズレと思われていた【待機】と【接続】は、使い方次第で驚くほど便利なスキルだった。料理の煮込み時間を保留したり、回復薬の効果を戦闘中に発動させたり。ユフィーリアは日々、スキルの新しい使い道を発見していく。 相変わらず彼の激重な想いに全く気づいていないユフィ―リアの元に「姉上が世界で一番尊い!」と暴走気味の重度なシスコン義弟カイルまで押し掛けてきて、レオンティウスの独占欲と嫉妬心は爆発寸前!? 地味スキルで無双する追放された転生令嬢と、溺愛系王子騎士の、ほのぼのラブコメディです☆ ※別サイトにも投稿中
表紙を見る 表紙を閉じる
終電帰りの限界OL、部屋の玄関を開けたら異世界の美形騎士の寝所でした。 「この塵溜めを掃除しろ」と言われましても、ここ私の家なんですけど!? ※別サイトにも掲載中です ※元タイトル「2Kの君」

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop