愛してるの期限が切れる前に
 靭帯などに損傷は見られない軽度と診断され、一週間程度の安静と痛み止めに湿布薬を処方された。
 大事に至らなかったことにほっとするが、玲桜は進められた精密検査を「大げさだ」と断った。
 会計で受け取った処方箋は、薬局が開いたら改めてもらいに行くこととなり、百花たちは再び玲桜が手配した車に乗り込んだ。
「精密検査、本当に受けなくてよかったの?」
 隣に座った玲桜の足には、包帯が巻かれてある。足下はスニーカーからサンダルに変わっていた。
(ちょっと見ない間に、ますます格好よくなっちゃた)
 体つきもたくましくなり、筋肉質になったと思う。
 肩幅はこんなにも広かっただろうか。組んだ足に頬杖をついた姿は、どこかアンニュイさもあって、成熟した男の色香がダダ漏れだ。少し見下ろす感じで見つめられると、妙に落ち着かなくなる。
 そわそわしながら、百花はチャイルドシートで寝入る花を見た。
 怖い目にもあって、たくさん泣いて疲れてしまったのだろう。玲桜が診察を受けているときに寝てしまったのだ。
「足しか怪我してないのに、大げさなんだよ。そんなことに時間をとられたくない。はーちゃんだって退屈するだけだ」
「それは、そうかもしれないけれど……。あとで症状が出る場合だってあるでしょ?」
「心配してくれるんだ。優しいな」
 嬉しそうに目尻を下げ、花開くように微笑む玲桜の表情に、ついドキドキしてしまう。
「――私のせいだし……」
 そもそも、なぜ玲桜はこの町でジョギングをしていたのだろう。
(時々すれ違っていた人も、玲桜だったってこと?)
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