一緒にいたくて男装執事になったのに~嫉妬と溺愛とまりません~【隣国編】
歩きながら考える。
さっきまで、ものすごい体験をしていたはずなのに、今はいつもの平凡な風景といきなり消えてしまった魔法使いさん。
あれは、夢だったのかな?夢じゃないならレッドアイの魔法使いさんにまた会いたいな。
また会えたら残りのチョコレートたちにも魔法をかけてもらうんだっ!
あのルビーのチョコレートだけ魔法がかかってるだなんてずるいもんっ!
再びポケットからジュエリーチョコレートを引っ張り出して、中の綺麗なチョコレートたちを見ながら歩く。
私のジュエリーチョコレートたちも魔法をかけて貰えたら、この国の思い出として、大切にするんだけどなっ。
ジュエリーチョコレートを見ながら歩いていると、ふわっと風が吹く。
なんだか誰かに呼ばれているようなそんな不思議な感覚がして、もう見えなくなってしまった雑貨屋があった方向に振り返る。
だけれど、誰もいなくて……気のせいかな。と、また歩みを進めようとしたその時、そよそよと吹く風と一緒に
「またな」
と、魔法使いさんの声が聞こえた気がした。
綺麗なルビーの指輪と、綺麗なレッドアイの瞳を思い出して、私は顔を緩ませながら小さな声で囁く。
「魔法使いさん、またねっ!」