一緒にいたくて男装執事になったのに~嫉妬と溺愛とまりません~【隣国編】
そして、一番奥にあった真っ白で大きな王宮に辿り着く。
中に入ると、静かで私たちの足音だけが響いていてなんだか緊張してくる。
そんな私に急に振り返ったギル様が、案内人の人にバレないように静かに声を掛けてきた。
「リオ、俺から離れるなよ?」
「こんな所で離れたら迷子確定ですねっ!」
私がイタズラ顔で笑うと、ギル様はため息混じりに真剣な顔で心配をする。
「笑えない冗談を言うな、お前がいなくなったら貿易交渉どころじゃなくなるだろう?」
迷子といえば……魔法使いさんを思い出す。
お菓子をあげた仲だから、もうお友達どころか親友までありうる!!
そんな事を考えながら、笑みがこぼれる。
「迷子になっても私には魔法使いの親友がいますからねぇっ!ふふっ!」
「はぁ?何を言ってるのか全然分からないんだが……って、もう着くな。何かあれば俺がちゃんとフォローするから離れるなよ。お前はお前らしくしていればいいから」
ギル様は最後は早口で話すと、案内人の人にバレないようにと、さっと前を向いてしまった。
私らしく……?少しだけ緊張しているのに気づいていたのかな?
はちゃめちゃしたら困るのはギル様なのに……私に相変わらず甘いなっ。
ギル様の気遣いと、いつも通りの私たちの空気感に少しだけ緊張がほぐれていった。